「だから…。アタシは、この世で1番嫌いな男と金を手に入れたいと思った。」 「……。」 「もう…傷つきたくないから…。」 だから、全部自分で持っていれば、傷つかずに済むと思ったんだ…。 「アタシが、キャバで働こうと思った理由はそれが原因だよ。」 アタシはずっと俯きながら歩いていた。 でも、歪んだマフラーをなおそうと顔を上げたその時…。 「俺もだよ。」 切ない顔をして、そういった陸斗の声が聞こえた。