「宝石や、宝石。一緒に帰ろう。姫様がおまえを待っているよ」

じいやが宝石に向かって優しく囁きました。
けれど宝石は後ろに飛び退きます。

「嫌だ嫌だ!ボクを大切にしてくれないお姫様なんて大嫌いだ!」
「これは驚いた。宝石、おまえは話せるのかい?」
「魔法使いのおかげだよ。だけどもうすぐ魔法は消えて、ボクはただの宝石に戻るんだ。その前にどうしてもここに来たかった」

宝石は、できることならずっとこの場所で過ごしたいと、じいやに言いました。