「いいかい、宝石や。大切な物とは、失って初めて気づくものなんだ」

じいやはその場にちょこんと座り込み、宝石に優しく語り続けます。

「おまえから見たら、姫様の行いは耐え難いものだったのだろうね。だけど姫様にも、理由があったんだよ」
「理由?」
「姫様がおまえを磨かなかったのは、王女様から貰ったときのままでおまえを保存しておきたかったからさ。姫様がおまえをテーブルの上に置きっぱなしにしていたのは、いつでも目の届く所におまえを置きたかったからだよ」

宝石は本当に?と驚きの声をあげます。