《クロゴキブリの卵は1センチほどの楕円形で焦げ茶色》

《中は卵包で包まれたゴキブリの幼体が30匹つまっている》
  


あの例の黒い虫…ゴキブリが出てきた

視線を感じるな…と思ったら台所のシンクにとまっていた

私が悲鳴をあげるとゴキブリは走り出した

殺虫剤を手元においててよかった
ゴキブリに何度も噴射して、やっと退治することができた

始末するときに
どうしても見なくてはいけないのが嫌だったが仕方ない

割り箸でつまむ…固い…それなりの厚みが感じられる
チラッと大きさを確認…4センチくらいはある
黒くテラテラ光っている
長い触覚が手に付きそうになって…鳥肌がたつ

急いでごみ袋にいれる



私が住んでるこのマンションは8階だ
ふだんなら、ゴキブリなんてほとんど出てこない
でも、今年に入って数回は退治した

おかしい

部屋は食べ物を置いてないし、生ゴミも小まめに捨ててる。
部屋もほとんどものは置いてない

でも、退治したゴキブリはどれもみんな大きい  
ということは、1匹見つけたら30匹はいると思えという
どこかで繁殖している可能性がある

怪しいところといえば…

私はベランダにでた

隅っこに釣り用のクーラーボックスが置いてある
彼氏が置いていったものだ

クーラーボックスの紐をつかむ

おそるおそる持ち上げた



ザザザザザザ…ザザザ!

大きくテラテラ脂ぎったもの
色のうすい小さなもの
体に斑点模様のあるもの

大小、様々な色、形のゴキブリが
クーラーボックスの下から這い出てきた

ベランダ中がテラテラとした黒いものが走り回り足の踏み場がない

私は悲鳴すら忘れて

ゴトン

クーラーボックスを落とした

落としたクーラーボックスが開いて
さらに大量のゴキブリがわきだしてきた

その数は30どころか、50か60はいる

私は涙をこらえながら殺虫剤とほうきを手にする
 


死闘を繰り広げること二時間

恐らくほとんどのゴキブリを退治することができた
ゴキブリは足をピクピクさせて、裏返って死骸となっている。

私はほうきで死骸をはいてごみ袋にいれた

恐らく、数匹は残っているであろうクーラーボックスも同じくごみ袋につっこんだ

まだ、かろうじて生きているゴキブリが
ごみ袋ごしにシルエットとしてカサカサと動いているのが見える

私はすぐに、ごみステーションに捨てにいった


静寂が訪れたベランダ

クーラーボックスがあったすぐ横の壁に
焦げ茶色で楕円形の物体が3つはりついている