「し、進也く…」
 
「絶対に振り向くな!!」


振り向けば、そこに何が見えるか解っていた。

見たら最後…
私達は恐怖に負けて景色に吸い込まれてしまうだろう。


ゴゴゴゴゴオゥ!!


傾きが増した。

目の前の床が、私には絶壁のように感じられる。

奈緒を掴んだ手にズシリと重みが掛かった。