フッと小さく笑う忍。
「そうだな。俺は、産まれる前の記憶があったくらいだからな」
「え? 産まれる前の? 」
「ああ、姉の絢とは。産まれる前に、こうしようって決めていた事があって。それを覚えて産まれて来たんだ。でも、その先の事は全く分からなかった。それでも、俺はいつも自分を信じているからさっ」
「自分を? 」
「ああ、そうだ。自分のハートを信している。樹利亜の電話を受けた時、俺のハートがキュンと鳴ったから間違いないって思ったから。それに、電話を受けた時、樹利亜の今の顔が見えたんだ」
「え? 」
「俺、昔から視えないものが見えたりしてたからさっ。だからいつも信じるのは、自分のハートだよ」
話しを聞いていても樹利亜はあまり実感できなかった。
でも、忍を見ているととても幸せな気持ちになれる。
その気持ちを信じてゆこうと思った。
そっと抱きしめてくれる忍。
樹利亜も素直に寄り添った。
その晩は、2人で寄り添って眠った。
ちょっとだけ膨らんでいる樹利亜のお腹に触れて、忍は。
「すごく元気な感じがする。男の子かな? 」
と言っていた。
まだ性別は全く分からないが、なんとなく忍は感じたようだ。
忍に寄り添うと、規則正しい鼓動を感じて、樹利亜はとても幸せを感じた。
長年苦しめられたことから解放されたのか、顔もいつの間にか元に戻っていた。
奇跡が起こった…そう信じようと樹利亜は思った。



