いじめっ子抹殺魔法〜優等生の放課後残酷魔物狩り〜

「校則には香水が駄目とか書いてないし!」

「授業の妨げになるようなものは、こんな強い臭気を放つような物は持ち込み禁止。この臭いを嗅がせて回って、みんなが問題ないと言ったら返すけど?」

雪田は絶句した。いくら賄賂を渡しても嘘はつけないだろう。朝霧たちが頼めば、好意を持っている男子が無理してくれるかもしれないけど、女子は正直に拒否する。

「あいつら何してくれてんだよ」

「嫌がらせでこっちまで迷惑かかるとかだるすぎ。三河何とかしろよ」

「ガチのいじめじゃん。いじりってレベルじゃないよ。今回は証拠残ってるし前みたいに言い逃れできないよ」

「やり過ぎなんだけど。先生に言わなきゃ」

男子は私がいじめられているせいでこんなことになった、と私への批判的な見方は変わらないけど、五人を見る目も厳しくなった。
女子は朝霧たちがクラスでも上位のグループということを差し置いても我慢ならなくなったようだ。

状況の不味さは理解しているようで、残りの三人はヒソヒソと話し、海堀と雪田は必死に引き止めてくる。

「あんたたちがそんなことしなけりゃよかったじゃん」

「あれで反省したのかなと思ったうちらが馬鹿だった」

朝霧たちほどではないけど普段私のことを見下していた二人組が雪田たちを非難する。

「三河ちゃん!」

咲洲たちは雪田たちを押しのけて私のところまで来る。

「これは任せて」

一番足が速い松下が容器を取ると、廊下を小走りしてどこかへ向かう。おそらく職員室だ。

必死になって追いかけようとする雪田たちを咲洲たちがブロック。

坂田は珍しく髪の毛を耳にかけていて、鋭く睨めつけているのが横からでもわかった。

「髪とか洗った方がいいよね」

「もうこの際帰っちゃってもいいんじゃない?こんなんじゃ授業受けられませんって言って。三河ちゃん元から成績いいしあいつらのせいなんだからOKでしょ」

咲洲たちは笑顔で気を使ってくれて……
巻き込まないよう助けなくていいと言ったのに、クラスの雰囲気が変わったらすかさず助けてくれる。

話は合わなくてもこんな風に思いやってくれることが嬉しかった。咲洲たちと一緒にいてよかったと強く思う。
LHRで必死になってあの日が嘘みたいだ。

心を圧迫されていたのが浮き立つような心地に変わる。