いじめっ子抹殺魔法〜優等生の放課後残酷魔物狩り〜

これ雪田のだよねと言って返してやろうかと思ったけど、直前に写真で証拠を残したくなった。スプレーを左の拳に隠しながらスマホのロックを解除していると、雪田は拳を解こうと必死になる。

「三河、返しなよ!」

海堀が顔を引きつらせて左へ歩み寄ってきたから撮影は断念。その代わりにスプレーの中身を周知しよう。

「中身をちゃんと捨てるならいいよ」

「す、捨てるから返して」

「は?ただの香水なんだしなんでそんな指図されなきゃなんないの?ぽいぽい捨てられるほど安くないんだけど」

海堀は怯んだ様子で従おうとし、このことをさっさと闇に葬ろうとするけど、雪田はこの期に及んでただの香水と言い張る。

「高いからって使わずにいつまでも有難がるのはよくないわ。これ品質が劣化してるんじゃない?」

「は?別に高いって程のもんじゃないけど?香水とかつけたことないから全部高そうに見えちゃうんだ。かわいそー」

そりゃ嫌がらせ用に自作したんだから高くないことはわかっている。雪田は香水であることを否定できず揚げ足を取るだけだった。

さて、これ以上話しても無駄。
容器を固く握りしめて椅子から立ち上がる。返すかと思わせて……足は出口に向かう。

「ちょっと返せよ!」

「よく考えたら校則違反だから先生に渡してくる」

ちらりと海堀の方へ振り向くと、そのまま先生に報告するのを予想したかはわからないけど、顔を青くさせていた。