いじめっ子抹殺魔法〜優等生の放課後残酷魔物狩り〜

おならと思わせたいなら腐卵臭にすればよかったのに。確か他には二酸化硫黄とかアンモニアも含まれていて……まあ完璧に再現するのは難しいし、作り物らしい出来でも仕方ない。

「ねぇ雪田、悪いけどさっき持ってた香水貸してくれない?」

正直なところ腹立たしい顔だけれど、向き合うと軽い調子で手をのべた。
見られていないと思っていたのか、まぶたをぴくりと震わせてから硬直する。

「え、そんなの持ってないし」

「ふーん、そう」

そうしらばっくれるけど小型のスプレーをスカートのポケットに忍ばせているのは知っている。

「とにかくトイレに行って残ってるのでも出し切ったら?」

私を追い払うようなことを言ってぎこちない笑みを見せると苦し紛れに早足で去ろうとする。スカートのポケットには普段持ってきていないハンカチが突っ込まれ、膨れていた。

「ハンカチ畳み直したほうがいいよ」

断りもなくハンカチを引っ張ると、一緒にスプレーが転げ落ちる。木の床とぶつかった軽い音に慌てて振り返っても遅い。すかさずスプレーを取る。

「あるじゃない」

「ちょっ返して!」

透明な容器には雑巾を絞った後の水のような濁った液体が入っていた。雑巾の臭いというのは当たりかもしれない。
手首に吹き付けるとさっきの臭いが立ち上った。再び現れた臭いに注目が集まり、良い展開になってきた