カバンを持つと鍵を持った沙良木と連れ立って外へ出る。
外に人は……いない。少し化粧をしただけで、もしも通行人が私たちを見たらどう思うんだろう、と人目を気にしてしまう。
そわそわするのは私だけで、通行人は容姿の良い沙良木はともかく、私が初めて化粧をしたなんて知る由もないから気にも留めないだろう。
しかし鉄の柵を出たときの一歩は特別感があった。男子である沙良木に対して歩く速さを加減したことはなかったのに、気恥ずかしくて玄関を出るときに遅れを取ったのだ。
気を取り直して足を早め、沙良木と並んで閑静な道を歩く。自転車に乗ったおじさんが通り過ぎただけで、人と会わないまま自然と会話に入り込むように。
やがて店が所々並ぶ道に入り、人通りが増えたことから周囲に気をつけながら話す。
「教会、ここって人はいるのかしら?綺麗なのにあまり人が使っているのを見たことがなくて」
手入れされているのはわかるけれど人の気配がない。
宗教が入り混じる国とはいえキリスト教の行事と言ってもクリスマスくらい。そのクリスマスもかなりアレンジされていてキリスト教らしく神に祈ることはあまりない。
「日曜日には普通に人が集まっているのを見るし、町内会や近所の英会話教室がクリスマスパーティーで使っているみたいだね」
なるほど。
「僕も子供のとき中に入ったことがあるんだ。町内会の集まりで。浮かない顔をしているってすぐに気付かれて悩みを聞いてもらったんだ」
「親切なのね」
「うん。それで君は間違っていないって肩を叩いてくれてね……神様もそうだし、もちろん親も身近な友達とか君のことを愛してくれる人がいる。だから悪意に呑まれて本当に大切なことを忘れてはいけないって」
いじめは本当にひどくて、同学年の生徒は全員敵とすら思えた。だから当時優しい言葉をかけられて安心しただろうし、私も嬉しく思う。
「仕返しが出来ない僕は弱い男なのかなって思ってたけど、それから僕は得意なことに全力をかけて、嫌な人じゃなくて大事な人に目を向けようと思ったんだ。そのおかげで今こうして幸せを掴めたと思う」
外に人は……いない。少し化粧をしただけで、もしも通行人が私たちを見たらどう思うんだろう、と人目を気にしてしまう。
そわそわするのは私だけで、通行人は容姿の良い沙良木はともかく、私が初めて化粧をしたなんて知る由もないから気にも留めないだろう。
しかし鉄の柵を出たときの一歩は特別感があった。男子である沙良木に対して歩く速さを加減したことはなかったのに、気恥ずかしくて玄関を出るときに遅れを取ったのだ。
気を取り直して足を早め、沙良木と並んで閑静な道を歩く。自転車に乗ったおじさんが通り過ぎただけで、人と会わないまま自然と会話に入り込むように。
やがて店が所々並ぶ道に入り、人通りが増えたことから周囲に気をつけながら話す。
「教会、ここって人はいるのかしら?綺麗なのにあまり人が使っているのを見たことがなくて」
手入れされているのはわかるけれど人の気配がない。
宗教が入り混じる国とはいえキリスト教の行事と言ってもクリスマスくらい。そのクリスマスもかなりアレンジされていてキリスト教らしく神に祈ることはあまりない。
「日曜日には普通に人が集まっているのを見るし、町内会や近所の英会話教室がクリスマスパーティーで使っているみたいだね」
なるほど。
「僕も子供のとき中に入ったことがあるんだ。町内会の集まりで。浮かない顔をしているってすぐに気付かれて悩みを聞いてもらったんだ」
「親切なのね」
「うん。それで君は間違っていないって肩を叩いてくれてね……神様もそうだし、もちろん親も身近な友達とか君のことを愛してくれる人がいる。だから悪意に呑まれて本当に大切なことを忘れてはいけないって」
いじめは本当にひどくて、同学年の生徒は全員敵とすら思えた。だから当時優しい言葉をかけられて安心しただろうし、私も嬉しく思う。
「仕返しが出来ない僕は弱い男なのかなって思ってたけど、それから僕は得意なことに全力をかけて、嫌な人じゃなくて大事な人に目を向けようと思ったんだ。そのおかげで今こうして幸せを掴めたと思う」



