その焦りから逃れるように、授業が終わるとすぐ異空間に飛び込んで魔物を狩る。

本当ならすぐ帰宅して勉強するべきだけど、こんな風に放課後すぐ魔物を狩れるのも一年生の間だけだし、さっさとあいつらも消して環境を整えたいのだ。

柱の影に西洋人形が佇んでいて、私を見るなり指差してクスクスと笑った。反射的に切ろうとしたけど右頬をさする様子を見せるから、気になって同じように右頬に触れた。

空気に触れ、かさぶたになろうと粘度を増した血の感触がある。先程別の魔物に引っかかれたところから気付かないうちに血が出ていたようだ。

窓ガラスに顔を映して見つめると、ほうれいせん線のようになっていて、下を向くとブスになるという言葉を思い出した。

同い年とは思えない等、次々と容姿を馬鹿にされた話が引っ張り出されてくる。

人形だというのに球体関節も必要としないあいつは、形のいい唇を動かす。

斜め上に突き込んで白い額から後頭部まで貫く。止まったままの死に顔は一瞬にして消えた。
綺麗だろうが醜かろうが私の前に出れば殺されるし、跡形も残らない。

早く一井にこの世界を教えてやりたい。顔がいいだけでは生きていけないこともあるって。