昨日は疲れることばかりでよく眠れたけど、寝起きは最悪だった。八時四十分からの学校生活をとばしてそのまますぐ放課後になったらなと思ってしまうほど。

成果のないLHRの翌日で、気が重くなるのも当たり前だった。昨日のLHRの影響で一番恐れていることは、他のクラスメイトの反応だ。

一井のことを気に入っている男子は印象をもっと悪くしたと思う。傍観者だったのが陰口を叩くことも躊躇わなくなるかもしれない。

ただでさえ人より多い陰口がまた増えるのか。

うんざりしながらも、やっぱり始業時間の五分前には学校に着く。

好奇の目で見られることを覚悟しつつ教室に入ったけど、各々別のことに意識が向いていて私の方を見ない。安心して席につき、カバンを下ろした。

今学校にいるのは一井、海堀、窪田の三人。窪田は仲間に自分がしたことを見せびらかすのが好きだから、全員が揃ってない今手を出すことはないだろう。一井は黙ってスマホを触っていて、何かしてくる気配はない。問題は海堀だ、海堀は一人でも仲間がいたらすぐに何かしてくる。

そんな海堀もスマホに集中しているみたいだし、SHRが終わるまでは安心でしょ。

SHRのために先生が教室に入ってくると、通常の連絡の後教卓に両手をついた。

「このクラスには俺も他の先生も期待しているし、俺は昨日よりも今日、今日よりも明日にはもっといいクラスになっていくと思っている。ということでお互い助け合いながら頑張ってほしい!」

能天気な熱のこもった声でクラスを見回した。
そして号令をかけさせてSHRは終わる。

助け合えと言って仲良くできる状態なら最初からこんなことになっていない。盗難が起ころうと私が苦しんでいようと生徒の善意を信じるのをやめないのだ。

五人が反省して、たちまちいじめがなくなったりはしないだろう。でも流石にこれで来年も同じクラスになることはないだろうから、それだけでも先生に言った意味があると思おう。まだ一学期だから気が遠くなるような話だけど、三月まで耐え切るんだ。

いつかは終わると考えることで自分に救いを持たせる。
憂鬱な日々だけど一日一日消化していこう。