いじめっ子抹殺魔法〜優等生の放課後残酷魔物狩り〜

再生が間に合わないくらい一気に痛めつける必要がある。
鉄製のハンマーに変えて、溶け出した小さい方を力一杯殴りつけると、短く悲鳴を上げてコンクリートの飛沫を飛ばした。

ハンマーを離すと、べっちゃりと張り付いていた小さい方の痕跡は消えていた。

大きい方に視線を移しまた力一杯殴りつけると、小さい方とはまた違い沈み込む感触と粘り気のある音が立った。

かなり凹んで呻き声を上げるものの消滅には至らず、溶けるスピードが速まったところをもう一度殴る。間を置かず何度も叩き潰し、消滅しようとする瞬間も叩いた。

魔物が消えたことによって壁に直接ぶつかり、鈍い音が響く。くすんだ白色のペンキにヒビが広く入っているけど、ここを出れば元通りだ。

放課後私が叩いたことを誰も知らない。槍を刺したことも知らない。誰にも怒られない。

私は先生に守られなかったけど、魔法に守られている。そう思いながら壁のヒビを撫でると、荒んでいた心に落ち着きが戻っていった。

私に危害を与える存在はこの世界にない。私の行動を制限する規則もない。

棍棒で殴ってきた小男は消した、身動きを取れなくした壁の魔物もさっき消した。

明日は体育館にいたあいつを倒そう。あの日は逃げてしまったけど今なら倒せるはずだ。

世界が切り替わる前、この学校にいる限りずっと惨めな気持ちにさせられるんだと思っていた。
それでも世界が切り替われば、あいつらと同じように暴れ回ることを許される。

私だけが理不尽にさらされるのではなくて、自由になれる世界が違うだけだったのだ。

そう悟った私はもう魔物退治を恐れなくなっていた。