だからSHRが終わればこんなどうしようもない高校から早々に逃げ出し、塾に向かう。
二度の失敗は許されないから、高校のことを忘れて勉強に打ち込む。
塾が終わると、私が一番穏やかに過ごせる時間が来る。
暗くなった公園。街灯の下で待っていると、彼がゆっくりと歩いてくる。
人がほとんどいないはずの時間とはいえ、少し周囲が気になるのか緩やかに見回す。
「沙良木」
街灯に照らされると、艶のあるブロンドの長髪が見える。右側は特に長く、首に寄り添ってから肩に乗っかっていた。
「お疲れ様、光起」
「そちらこそお疲れ様」
沙良木は近くの高校に通っていて、元は同じ塾に通っていた。
首を気にして手をかける癖。
いつものことだけど何かを感じ取り、背伸びして抱きしめる。
あえて右側に顔を乗せる。
「やっぱり気にならないんだね」
「当たり前よ。だって沙良木の全てが好きなんだから」
沙良木には首と顔の側面にかけて傷跡があった。
それを気にして髪で隠し、外で会うときは夜を望んでいる。
もう少しこうしていたかったけど、疲れるからかかとをすとんと下ろした。
沙良木は白い肌を染めて笑っていたけど、ふと、何かに気付いたように笑顔が消えた。
手を伸ばすと、私の胸元の汚れに触れる。
「これ、インク……」
今朝の赤いインクだ。つい忘れていたけど、沙良木は不思議そうに見つめている。賢い沙良木のことだ。疑いに変わってもおかしくない。
二度の失敗は許されないから、高校のことを忘れて勉強に打ち込む。
塾が終わると、私が一番穏やかに過ごせる時間が来る。
暗くなった公園。街灯の下で待っていると、彼がゆっくりと歩いてくる。
人がほとんどいないはずの時間とはいえ、少し周囲が気になるのか緩やかに見回す。
「沙良木」
街灯に照らされると、艶のあるブロンドの長髪が見える。右側は特に長く、首に寄り添ってから肩に乗っかっていた。
「お疲れ様、光起」
「そちらこそお疲れ様」
沙良木は近くの高校に通っていて、元は同じ塾に通っていた。
首を気にして手をかける癖。
いつものことだけど何かを感じ取り、背伸びして抱きしめる。
あえて右側に顔を乗せる。
「やっぱり気にならないんだね」
「当たり前よ。だって沙良木の全てが好きなんだから」
沙良木には首と顔の側面にかけて傷跡があった。
それを気にして髪で隠し、外で会うときは夜を望んでいる。
もう少しこうしていたかったけど、疲れるからかかとをすとんと下ろした。
沙良木は白い肌を染めて笑っていたけど、ふと、何かに気付いたように笑顔が消えた。
手を伸ばすと、私の胸元の汚れに触れる。
「これ、インク……」
今朝の赤いインクだ。つい忘れていたけど、沙良木は不思議そうに見つめている。賢い沙良木のことだ。疑いに変わってもおかしくない。



