昨夜背負ってもらうのは断りつつも家まで送ってもらい、外のライトに照らされる沙良木を見ていた。

二人しかいないからライトの当たるところまで来てくれたんだ。通行人もなく、家の誰も窓を見ていない環境に感謝した。

保冷剤のおかげかあざの痛みはあっという間に引いていき、朝起きたときにはもう存在を忘れていた。

何事もなく教室に入り黒板を見ると、今日は当番の日だと気付く。

面倒だけど当たり前のことだから果たすとして、こんな日は魔物退治したいと思ってしまった。何もない日の放課後を魔物退治に使うのは損だけど、元から帰るのが遅くなるような日なら気にならないのだ。

それでも帰宅部だし塾さえなければ放課後の時間なんて有り余っているなと思って、今日はやっぱり練習に留めておく。

SHLで学級日誌を受け取ると、高校初の当番が始まった。

当番の役目といえば移動教室での鍵かけ。
四時間目にある科学の移動のため廊下に出て、全員が出るのを入り口の横で待つ。案の定五人の行動は遅く、最後に窪田が不自然に笑いながら出てきた。

すれ違い様に私を見るから何か言ってくるのかと思ったけど何もない。何なの?と鼻を鳴らしてから鍵をかけた。