そして放課後になると、私は足を怪我したにも関わらず今日も魔物狩りに出た。

落ちゆく日の光が差し込む廊下を歩いていると、前方を横切るような形で一際暗くなっているところがあり、その影との境目に足を踏み入れると魔物が見えた。

30cm程度の鬼のようなものがちょこまかと走り回り、曲がり角に消えて行く。
それを追いかけ槍を突き刺すも、的は小さくて小回りが利くから闇雲についたところで当たらない。

未来位置を予測して突き、魔物を床に釘付けにした。
するとまた跡形もなく消える。

他の魔物は仕留められた仲間に目を向ける余裕もなく逃げる。未来位置を予測して突き刺すも、ひょいとかわされ拍子抜けする。

一つの危機を切り抜けた魔物が、今度はジグザグに走りつつ予想の裏をかいて直進したりと、小さいながらも仕留められないよう学ぶんだなと感心する。

一匹ずつ倒していれば最後の一匹に経験を与えてしまう。まとめて倒せないだろうか。

そして槍で薙ぐという方法を思い出す。振り下ろすために上げていた腕を下ろし、腰を低くする。

左に行こうとする二匹の側面へ、進行を迎え撃つように穂先をぶつける。
一息に薙ぎ払い、咄嗟に右に逃れようとした一匹も首を断たれた。

二匹まとめて頭部を失い、消える。


一階から二階に渡って探し回ったけど、その日見つけたのはどれも弱い魔物で、この調子が続くなら魔物を滅ぼすというのも難しい話ではない。

私の願いのため、この先出会う敵がそれほど強くなければいいのに。
そんな甘いことはないとわかっているけど、潜んでいる魔物の強さなんて知る由もなかった。