じんじんと痛む膝の骨と、埃が張り付いた赤い手。
その瞬間を見ていた窪田と朝霧は失笑するものの、率先して馬鹿にしてきそうな海堀は茫然とし、犯人と思われる雪田に関しては冷たい目で見下してくるだけだった。
咲洲が駆け寄ってきたので手を借りて立ち上がる。
「保健室行く?」
「ううん。このくらい大丈夫よ」
スカートの形を整えながら答えると、海堀が落ち着きのない早口で寄ってくる。
「いや保健室行った方がいいよ。連れて行くね」
海堀が咲洲に一声かけて有無を言わさず教室から連れ出した。
廊下で何をするつもりなのかと身構えたけど、不思議なことに何もされないまま保健室の前に来ていた。
海堀はサボりで保健室慣れしているのかテキパキと事を進めて行く。
「どうして転んだの?」
「雪田が変な座り方して足が引っかかってしまって……」
そういうことか。
五人の目がないところで友達と一緒にいれば、チクられるかもしれないと思ったのか。
これまで保健室にお世話になるような、体に傷の残るいじめはなかった。動揺しているのは証拠が残ることでばれる可能性が高くなったから。
どうせ保健室の先生に言ったところで状況は変わらないし、わざわざ焦って言い訳しなくても。
無駄だなと思いつつ、そこまでして安全にいじめを続けようとする海堀に、行き場のない怒りを覚えた。
その瞬間を見ていた窪田と朝霧は失笑するものの、率先して馬鹿にしてきそうな海堀は茫然とし、犯人と思われる雪田に関しては冷たい目で見下してくるだけだった。
咲洲が駆け寄ってきたので手を借りて立ち上がる。
「保健室行く?」
「ううん。このくらい大丈夫よ」
スカートの形を整えながら答えると、海堀が落ち着きのない早口で寄ってくる。
「いや保健室行った方がいいよ。連れて行くね」
海堀が咲洲に一声かけて有無を言わさず教室から連れ出した。
廊下で何をするつもりなのかと身構えたけど、不思議なことに何もされないまま保健室の前に来ていた。
海堀はサボりで保健室慣れしているのかテキパキと事を進めて行く。
「どうして転んだの?」
「雪田が変な座り方して足が引っかかってしまって……」
そういうことか。
五人の目がないところで友達と一緒にいれば、チクられるかもしれないと思ったのか。
これまで保健室にお世話になるような、体に傷の残るいじめはなかった。動揺しているのは証拠が残ることでばれる可能性が高くなったから。
どうせ保健室の先生に言ったところで状況は変わらないし、わざわざ焦って言い訳しなくても。
無駄だなと思いつつ、そこまでして安全にいじめを続けようとする海堀に、行き場のない怒りを覚えた。



