怒られる必要もなくなり、清々しい気分で教室に入る。
いい気分なのは私だけでもないらしい。教室は全体的に浮ついた空気が漂っていた。
荷物を置いて咲洲たちと話したいところだけど、今日はあの子がいるから近付きたくない。勉強に集中していることにして行かないでおこう。
机にノートを広げて今日の数学の予習をする。
公式を確認して試しに一つ問題を解いた後、スマホに通知が届いた。
咲洲からだったからアプリを開けると、昼休みか放課後にクラスで集まって一井の誕生日を祝う動画を撮るという。
昼休みか放課後どっちがいいか聞かれ、私は行かないと答えた。
それでもクラス全員で撮らないと朝霧さんが機嫌を損ねるよと忠告される。
いつも朝霧たちに悪口を言われていても逆らえないのか。
このグループのリーダーでも朝霧たちをどうにかすることはできない。リーダーだからこそ、三河は出ないなんて言えずに困っているだろう。
なら直接本人に言ってやる。
「朝霧、私はいじめてくるような人の誕生日なんて祝えない。そっちだって私みたいなのが映らなくてせいせいするしいいでしょ」
「え、何言ってるの?全員で撮るってことが大事なんだよ。三河がどうとかじゃなくて数が必要って話」
「数合わせなら他クラスの友達を使えばいい」
「そういうことじゃなくて〜クラス全員で祝うって話なのに、三河を省いているみたいで気分悪いじゃん」
「私を仲間と思っていないのはいつものことじゃない。私は誕生日を祝うための飾りじゃないの。あなたたちだけで勝手にやって」
朝霧は反論してこない。この話はこれで終わりにしてどう思われようと不参加を決め込む。
背を向けたついでに周囲と目が合うと、男子は冷ややかな目をしていることに気付いた。ブスが可愛い一井の誕生日を白けさせるな、とでも思っているのだろう。
私だって人が嫌がるのを見て楽しむようなバカが勉強時間の邪魔をしないでと言いたい。
私の後方に立っていた窪田はあからさまに嫌そうな顔をして右に散る。そのすぐ近くにいた雪田は、椅子に座りながら私のことをちらりと見てきた。
もっと何か言われるかと思ったけど嫌そうにするだけだ。
てっきりそう思っていたら、雪田の横を通り過ぎるその瞬間、足に引っかかるものを覚えた。
埃っぽい床へ大きく転倒する。
とっさに手をついたものの膝にも圧力がかかり、立ち上がるまで少し時間を必要とした。
いい気分なのは私だけでもないらしい。教室は全体的に浮ついた空気が漂っていた。
荷物を置いて咲洲たちと話したいところだけど、今日はあの子がいるから近付きたくない。勉強に集中していることにして行かないでおこう。
机にノートを広げて今日の数学の予習をする。
公式を確認して試しに一つ問題を解いた後、スマホに通知が届いた。
咲洲からだったからアプリを開けると、昼休みか放課後にクラスで集まって一井の誕生日を祝う動画を撮るという。
昼休みか放課後どっちがいいか聞かれ、私は行かないと答えた。
それでもクラス全員で撮らないと朝霧さんが機嫌を損ねるよと忠告される。
いつも朝霧たちに悪口を言われていても逆らえないのか。
このグループのリーダーでも朝霧たちをどうにかすることはできない。リーダーだからこそ、三河は出ないなんて言えずに困っているだろう。
なら直接本人に言ってやる。
「朝霧、私はいじめてくるような人の誕生日なんて祝えない。そっちだって私みたいなのが映らなくてせいせいするしいいでしょ」
「え、何言ってるの?全員で撮るってことが大事なんだよ。三河がどうとかじゃなくて数が必要って話」
「数合わせなら他クラスの友達を使えばいい」
「そういうことじゃなくて〜クラス全員で祝うって話なのに、三河を省いているみたいで気分悪いじゃん」
「私を仲間と思っていないのはいつものことじゃない。私は誕生日を祝うための飾りじゃないの。あなたたちだけで勝手にやって」
朝霧は反論してこない。この話はこれで終わりにしてどう思われようと不参加を決め込む。
背を向けたついでに周囲と目が合うと、男子は冷ややかな目をしていることに気付いた。ブスが可愛い一井の誕生日を白けさせるな、とでも思っているのだろう。
私だって人が嫌がるのを見て楽しむようなバカが勉強時間の邪魔をしないでと言いたい。
私の後方に立っていた窪田はあからさまに嫌そうな顔をして右に散る。そのすぐ近くにいた雪田は、椅子に座りながら私のことをちらりと見てきた。
もっと何か言われるかと思ったけど嫌そうにするだけだ。
てっきりそう思っていたら、雪田の横を通り過ぎるその瞬間、足に引っかかるものを覚えた。
埃っぽい床へ大きく転倒する。
とっさに手をついたものの膝にも圧力がかかり、立ち上がるまで少し時間を必要とした。



