いじめっ子抹殺魔法〜優等生の放課後残酷魔物狩り〜

トイレの前の曇りガラスからは魔物の姿が伺えない。

逃げたのか、隠れているのか……その前に一般的な女子高生が最初から戦えるわけがない。

槍の使い方や蜘蛛の弱点を調べようと思い、教室に置いてきた携帯を取りに行って気づいた。
電気がついていない。私が荷物置いていると知っていて鍵を閉めたな。

そんなことはよくあるから職員室に取りに行こうとしたけど、他のクラスも同じように電気が消えている。

人の気配がない。もしかしてこれも魔物のせい?

中はどうなっているのか。恐る恐るドアを開けると、カバンはあるのに人がいなかった。

避難訓練を思い出す。
魔物を見て外に避難した?それなら外が騒がしいだろうし……

自分のリュックサックからスマホを取り出し、教卓に潜る。魔物が来たときのことを考えて身を隠しておく。

まず蜘蛛の弱点を検索して、表示されたサイトを見て回る。
柑橘類の香りが苦手。水に濡れない場所を好む。
コーヒーは精神をおかしくする。

コーヒーをゆっくり飲むのではなく、蜘蛛退治に使うことになるなんて……

でも頭は人の姿だから効くかどうかわからないし、精神をおかしくして暴れられたらたまったものではない。

コーヒーは保留。
そして水が苦手なのになぜトイレなんかにいるのか。
魔物というだけあって通常の蜘蛛の常識は当てはまらないのかもしれない。

それでも床掃除がてら試してみよう。

柑橘類の香りなら、別の手洗い場にオレンジの香りの石鹸があった。先制攻撃で飛びかかられるのを防ぐために持ってこよう。

同じ階にあるから誰もいない廊下を走る。

本来の目的で使わないことに罪悪感を抱きつつも、手段は選んでられない。

容器を持つ手に力がこもる。
意を決してドアの足元に泡を出す。

利き手には槍。左手には石鹸。
容器に指を引っ掛けながら左手でドアノブを回し、真っ先に槍を中に差しむける。

隙間から素早く体を滑り込ませ、通路の真ん中を警戒しながら槍を構える。
しかし魔物の姿はなかった。