いじめっ子抹殺魔法〜優等生の放課後残酷魔物狩り〜

「確かにそうだ。誰か化粧落とし持ってる?」

朝霧が呼びかけるもみんな手ぶらで出てきたし、生憎私は化粧落としを持ち歩いていない。

「ないけど水でもいいんじゃない?」

一井が裏手からホースを引っ張ってきて、注ぎ口を顔に向ける。一井がいいよと言ったと同時に窪田が蛇口をひねった。

朝霧は指で顔を強く擦る。水がかかるというのにあいつは目を開いたままで、まぶたのアイシャドウを落とすのは難しそうだ。目尻まで擦ると、強く擦ったせいか赤くなった皮膚が見えた。

いや、これは擦ったせいではない。

「なにこれ、ぶくぶくしてるっ!」

朝霧は引き気味に指を離した。
芯がなく広範囲に盛り上がっていて、ニキビとはまた違う。

おそらく皮膚病か何かの傷痕だ。
三河はこいつの素顔を知っていて付き合ってたの?メイクで整えただけでこんな醜いやつのどこがよかったのか。

私には彼氏がいないというのに、こいつには三河がいて楽しげに帰ってるのが納得いかない。理解できない苛立ちが込み上げてくる。

雪田はさっきから言葉が出ない様子だ。気持ち悪そうに目を細める朝霧に代わって一井が顔を擦り出した。

「うわ、だいぶ広がってるじゃん」

メイク落としはないものの、次々と化けの皮が剥がされていく。素顔を晒して登校出来ることを疑いたくなるような醜さだ。

「なんとでも言えばいい。同じ厚化粧でも僕は人の顔を笑わないけど、どっちの方が一緒にいて楽しいか考えてみなよ」

メイクを欠かさない朝霧を挑発する様に見据えた。確かに朝霧に言っているけど、私にも向けられた気がして気味が悪かった。

「あっそう。……あんた三河のことが大好きなんだよね?じゃあ好きでも無い子とキスとか耐えられないよね〜。ねぇ海堀、こいつとキスして」

朝霧はそう言いながらポケットからスマホを取り出した。