学校とかバイト先とか、他のところでもかっこいいと思われてたんじゃないかと思う。沙良木の魅力に気付く人が増えたのは嬉しいけど、学校での私の評価との差に少し寂しくなる。

「服とかメイクとか、沙良木の選んだものがほんの一瞬でもいい印象を与えたってこと。だから心配しなくて大丈夫」

沙良木に関しては顔立ちとか綺麗な髪とか、元々の要素も大きく影響しているけど……。元々綺麗な人にいいものを合わせたら無敵ということだ。

「ありがとう。そう言ってくれる三河がいなかったら怖くて帰ってたかも」

沙良木は顔の緊張をゆっくりと解いて、襟元に手を添えた。安心したり、照れている時の仕草だった。もしもマフラーやスカーフをつける季節なら顔を埋めていただろう。

コンタクトレンズの店に着き、まず棚に並べられている商品が目に入る。

「カラコンねぇ……私もこういう茶色系をつけたら優しい感じの目になるかしら」

横にある写真では茶色の目の人が首を少し傾げて微笑んでいた。私の写真はというと、カメラに敵意はなかったのに厳しい眼差しを向けていたり、笑ったつもりで細めた目から冷たい印象を受けたりした。

元から優しい顔でないことはわかっているけど、暖かみのある色になれば少しは変わるかなって期待してしまう。

「自然な感じだしいいよね」

「そうそう。不自然だと思われるのは嫌だから……」

「カラコンが馴染むかどうかは色の縁の部分とか、元の目の色とかが関わってくるみたい。横のはよく見るとくっきり縁取られてて、ぱっちりした目になってる」

「本当だ。沙良木のは自然な感じに見えるけど、そういうことなのね」

朝霧がつけているのはしっかり縁取っていた気がする。元からそうなんだろうけど、とにかく目がぱっちりしていた。

そういえば朝霧は化粧のせいもあってつり目気味だけど、私と違って睨んでいるとか言われていない。やっぱり細い目じゃなくて開かれた目が正義ってことかしら。

昔の写真に写っていた、目を細めた自分を思い浮かべる。私ったら、まぶたは二重なのにぱっちりして見えないなんてある意味すごい。