「なんか申し訳ないわね。時間を割いてもらって……」

「気にしないで。今はお客さんも多くないから僕一人が抜けたところで変わらないし。どうしても気になるなら今度新しく出すドリンクの感想を聞かせてくれると嬉しいな」

「ソフトドリンクでしょうね?」

「もちろん。あ、味はスイカにレモンを入れた感じなんだけどいけそう?」

お酒をメインにしたお店だから少し気になったけど、沙良木がアルコールのある飲み物をうっかり勧めることはなかった。

飲めそうな味だからもちろん承諾。

「楽しみだな。実は僕の意見も入っててさ、三河にも飲んでみて欲しいなって思ったんだ」

「意見って……聞かれたの?それとも自分から発言?」

「店長に聞かれたんだ。僕みたいな入ったばかりのバイトに聞くとは思わなかったけど、スイカジュースのザラッとした感じが好きって言ったら話が進んでね。うちの店には珍しく、スイカのザラザラとかレモンの粒とか材料の食感が舌に残る感じだよ」

「面白そうね。楽しみにしてるわ」

新しいジュースも楽しみだし、沙良木の意見を参考にしていることも嬉しい。今の高校、そしてバイト先と沙良木のことを認められる場所がある。