ちょうど停車してきた普通電車に乗り最寄り駅の隣へ。周辺に飲み屋が集まるなんの変哲もない町だけど、私の近所より飲食店が多い。
沙良木のバイト先は駅から一五分程度のところにある。後ろに薄暗い林があって重いドアに閉ざされた店。夕方から営業を始める……お酒に力を入れている飲食店だ。
小枝を踏んで裏に回り込み、室外機のぬるい風に当たる。レジ袋に沙良木へ宛てた付箋を貼り付け、中に参考書を入れてドアノブにかける。
するとドアノブが回る音がして、急いで退散しようとしたらまさかの沙良木が出てきた。
「あ、三河」
「沙良木!ごめんね、返すの忘れてたから。休憩時間に勉強するかなと思って」
まさか沙良木が出てくるとは……時間的に働いていると思っていた。
「ありがとう!電車で来たんだよね?わざわざごめん」
「気にしないで、私が返し忘れてたんだから。じゃあ行くね」
用事は済んだのだから沙良木を引き留めないように背を向ける。それで終わりかと思ったら……
「ちょっと出ていいか?」
ドアの向こうから声がして、沙良木がドアの前から退く。声の主に苦手意識があり、何よりバイトの邪魔をしたと怒られそうだから慌てて立ち去ろうとした。
しかしドアが開くまでに視界から逃れるほどの時間はなく、あ、三河ちゃんかな?という嬉しそうな声がする。
「こ、こんばんは……」
「こんばんは!もしかして急いでた!?ごめんね!」
この店の店長だ。相手が年下の高校生とはいえタメ口で話しかけてくる、距離感というものを知らない人だ。
「いえ、急いではいません。お気遣いどうも」
タメ口で話すほど心を開けず、かと言ってかしこまった話し方でいるのは難しい。この人といるとどんな風に話せばいいのかわからなくなってくるのだ。
「そっか。でも夕方だし危なくないかな?よかったら誰かを近くまで送らせるけど」
「大丈夫です。駅から近いので。この辺りも人通りがありますから……」
林があって暗い雰囲気が漂うこの店で言うのもあれだけど、少し歩けば人通りのある道に出るから心配ない。
「沙良木、彼女を駅まで送って行ったら?」
「え、いいですよそんな!バイトの時間は……」
「大丈夫、まだ客も少ないし。バイト代は減らさないから。タイムカードは俺がやっとくよ」
こんなに融通が効くのか……
こうして沙良木と駅まで一緒に行くことになる。
沙良木のバイト先は駅から一五分程度のところにある。後ろに薄暗い林があって重いドアに閉ざされた店。夕方から営業を始める……お酒に力を入れている飲食店だ。
小枝を踏んで裏に回り込み、室外機のぬるい風に当たる。レジ袋に沙良木へ宛てた付箋を貼り付け、中に参考書を入れてドアノブにかける。
するとドアノブが回る音がして、急いで退散しようとしたらまさかの沙良木が出てきた。
「あ、三河」
「沙良木!ごめんね、返すの忘れてたから。休憩時間に勉強するかなと思って」
まさか沙良木が出てくるとは……時間的に働いていると思っていた。
「ありがとう!電車で来たんだよね?わざわざごめん」
「気にしないで、私が返し忘れてたんだから。じゃあ行くね」
用事は済んだのだから沙良木を引き留めないように背を向ける。それで終わりかと思ったら……
「ちょっと出ていいか?」
ドアの向こうから声がして、沙良木がドアの前から退く。声の主に苦手意識があり、何よりバイトの邪魔をしたと怒られそうだから慌てて立ち去ろうとした。
しかしドアが開くまでに視界から逃れるほどの時間はなく、あ、三河ちゃんかな?という嬉しそうな声がする。
「こ、こんばんは……」
「こんばんは!もしかして急いでた!?ごめんね!」
この店の店長だ。相手が年下の高校生とはいえタメ口で話しかけてくる、距離感というものを知らない人だ。
「いえ、急いではいません。お気遣いどうも」
タメ口で話すほど心を開けず、かと言ってかしこまった話し方でいるのは難しい。この人といるとどんな風に話せばいいのかわからなくなってくるのだ。
「そっか。でも夕方だし危なくないかな?よかったら誰かを近くまで送らせるけど」
「大丈夫です。駅から近いので。この辺りも人通りがありますから……」
林があって暗い雰囲気が漂うこの店で言うのもあれだけど、少し歩けば人通りのある道に出るから心配ない。
「沙良木、彼女を駅まで送って行ったら?」
「え、いいですよそんな!バイトの時間は……」
「大丈夫、まだ客も少ないし。バイト代は減らさないから。タイムカードは俺がやっとくよ」
こんなに融通が効くのか……
こうして沙良木と駅まで一緒に行くことになる。



