「お父さんの信頼を裏切りたくないから…………
我慢するつもりだけど………。
ちょっとだけ………良い?」

真っ赤になってうつ向く桜の手を引いて

寝室に向かう。

あぁ~どうしよう。

予定外に…………緊張する。

顎に手をかけて上を向かせると

閉じた瞼がピクピク動いてる。

桜の方が………緊張するよな。

彼女の緊張を目にすると、不思議と少し緊張が解け

回りが見えてきた。

いつも俺が寝ているベット。

12歳も離れてたら………

枕の加齢臭も気になる?

桜の家とは違う………手狭なマンション。

結婚したら、新居をと考えて………

殆ど何もない、殺風景な男の部屋。

告白もプロポーズも………このマンションだったから。

せめて、初めての時くらいは思い出に残る所でしたいよな。

「桜。
やっぱり、止めよう。」

俺の言葉に………目を開け………。

悲しそうな顔を見せる。

ウッ。

そんな顔をしないで。

俺もやせ我慢してるから………。

「俺って、絵本大好きなロマンチストだろう。
お姫さまは、おとぎの国でお嫁さんにしたいって思って………。
桜の気持ち………ホントに嬉しいけど
もうちょっとだけ、我慢するよ。
7年待ったし………もうちょっとなら大丈夫だから。
だから…………
これは許してね!」

そう言って………

この間とは違う………大人のキスをした。

ずっと片思いしていた………

諦めようと本気で考えていた彼女とのキスは。

今言ったことを後悔するほど………気持ち良かった。

あぁ~

やっぱり早まったかぁ?