『亨ちゃん、大変だよ!
桜が数合わせに、合コンに行くことが決まったよ!!』と

玲奈ちゃんからメールが届いた。

6人で行ったテーマパークの時。

春人の冗談で、学生時代………嫌で仕方なかった愛称の『亨ちゃん』が

みんなに知られてしまった。

卒業して直ぐ、俺をからかい『亨ちゃん』と呼び始めた玲奈ちゃん。

まぁ、俺も『玲奈ちゃん』『夏苗ちゃん』と呼んでいるが。

これを容認してるのは、木下さんの情報を得るため。

『お友達には協力するけど……
先生には教えない!』と言われては、オッケーを出さない訳にはいかない。

そう言えば…………

あの夏の日、春人が『亨ちゃん』と言ってからかった時。

いつも大人しい木下さんが………

「先生が嫌がってるのに………呼べません!」と

キッパリ言って俺を庇おうとしてくれたんだよなぁ。

彼女の純真な心に、感動したのも

好きになった要因の一つだ。

俺が懐かしい想いに浸っていると

今度は玲奈ちゃんから電話がかかってきた。

「ねぇ、ちゃんとメール見た?
後悔しても知らないよ!!」

捲し立てる玲奈ちゃんに

「うん、見たよ。
そりゃ、行って欲しくないけど………。
木下さんが、そこで新しい出逢いがあったら………
今度こそ引き際かな?って…………。
まぁ、諦められるかは別として。」

俺の答えにしびれを切らせた玲奈ちゃんは。