危険なキミの溺愛

「泣くなよ…」


え?


泣いてない泣いてない!


「元カノと完全に切れてなくて怒ってる?」


涙も出ていないのに、頬を撫でなにかを拭っている。


私にアドリブを求めるの?



無理だよ…。



私には演技とかできないし…。


「今朝だって…女の子が家に押しかけてきたよね?太田さんとも付き合ってたなんて。もういい加減にして!」



これは本当にそう…。



「まだ他にも女がいるの?ねぇ…どこまでクズなの?」


胸元を掴みグラグラと揺らす。


あ、表情が変わった。


口端を上げてにやりとしてるし、コノヤロウってオーラが漂い始めた。


やっぱり黒い…。