「うん…いいのかな」


「別に。花に風邪ひかれた方が困るから」


そう言って、頭に軽く手を置いてくる。


初めて、花って呼ばれたかも。


私は湊って呼ぶのに勇気が必要だったけど、なんの躊躇いもなく花って呼ぶんだね。


私が意識し過ぎてるだけなの?



ジッと湊を見上げると、なにかに気づいたように一歩下がった。



「悪い、触った…」



え?


頭に手を置いたこと?


さすがにそれは平気だよ。



「大丈夫…」



「…と、時間ないな。そろそろ学校行くかー」



はっ。



そういえばまだなんにも準備ができていないことに気づいた。



朝ごはんも食べてなければ、制服にも着替えてない。