「中川くんじゃないだろ?」



ああっ…そうだった。



にしても、そんな耳元でっ。



「あーどうやって追い返そう。なぁ、どうしたらいい?」


くっ…くすぐったい!


ボソボソ話すから、息がかかって耳を刺激される。



しかも時々唇が微かに触れて、その度にビクッとしてしまう。


「やっ…」


「んーいい匂い。もっかい、一緒に風呂入ろっか」


…はいっ?


「湊のバカ!!最低っ!!」


私が浴びせたい言葉を吐いて、女の子は逃げるように走って行った。



「おふっ…風呂っ、ええっ!?どういうこと!?」


急いで離れて大慌てなのは私だけ。


湊はシレッとしている。


「彼女役だろ?適当に合わせろよ」



適当にって…!



合わせられないよぉ。