「それだけは勘弁して。最近なんか変なんだよ…」



「変って…?」



「やたら機嫌悪いし、今日も進路のことでモメた。好きにしていいっつってたのに、いずれ会社を継いでくれとか言い出すし」



「ええっ、そうなの?」



宙は会社経営には興味がなくて、将来は好きな歌を仕事にしたいってよく言ってる。



確かに現実的ではないけど、夢を追うことには私も両親も賛成だったの。



それなのにどうして急に?



「自由に生きたいなんていいご身分だな。姉ちゃんは家のためにこんなところにいるのに」


湊がバカにしたように言うから、宙も反抗的になってる。


「俺のことは別にいいだろ。それに姉ちゃんを不憫に思うなら、解放してあげて欲しい。政略結婚したって、そっちには何のメリットもないはず」