私は急いで前を向いた。



これなら湊が見ていても気にならない。



担任の先生が出ていった後、授業の準備をしていると…。



「ちょっといい?」



え…。



声をかけてきたのは、湊!



「あ…あのっ…」



「来いよ」



返事をする前に強引に教室から連れ出される。



当然、ひかりちゃんは目を剥いているし、教室の中は騒然。



廊下を突き進み、人気のない別校舎へと移動。



な、なんのつもり…。



「こっ、困るよ…こんな…」



大胆過ぎる行動に引き気味の私の首筋に、湊が指を伸ばしてきた。



そして親指でそっと撫でる。



「ひゃっ…」



「そのままの方が困ると思うけど?」



「え…」



「ごめん、吸ったみたい…」



吸った…?