僕の体が大きくなって柚月よりも年上になったころ
柚月はチューガクセイというものになった。

ショウガクセイのころはたくさん遊んでくれたけど
チューガクセイになったとたん、柚月は僕にごはんをくれる以外は
部屋に入って過ごすことが多くなった。

ママが柚月の部屋の前にたって泣きそうな顔をしていた。

「ニャー」

僕はママの足に体をすりつける。

ママが僕の頭を優しくなでる。
暖かい水滴が見上げた僕の顔に落ちた。



台所にいた小さな虫を追いかけて遊んでいると廊下にでた
走って虫を追い続けると見失ってしまった。

パパとママの部屋から話し声が聞こえた。

「柚月はまだ部屋にいるのか?」
「うん、夕ごはんだって呼んでも出てこなくて…でも、部屋の前にごはんを置いてたらなくなってるから食べてると思う」
「…もう、中3だぞ?進路はどうする?中学になってほとんど登校してないじゃないか」
「そんなこと言っても、今の状態で高校に進学させたって行けるかどうか…」
「通信制も考えたほうがいいかな」

なんだか、僕にはよく分からない話をしている。
コーコー?ツーシンセー?人間って色んなものになるよなあ。

その点、猫はずっと猫のままでいられるから楽だ。