どうして傷つけたのかはわからない。
けど私の言葉かま原因なんだろうな。
それで変わってしまったんだから。

『今は一人でいたい』

今も………そうなのかな?
胸がまたチクリと痛んだ。
もしそうなら離れた方がいい………よね?

「私、もういくね」

私はそっと離れようとした。
でも彼の大きな手が私の小さな手を掴んだ。
そして私を抱き締めた。

「飯島く………っ」

「どうして離れようとするんですか………。一人にしないで………」

「っ………?」

飯島君………、一人になりたくないの?
だったら一緒にいてもいいの?

「一人で………いたいんじゃ………」

「先輩と一緒がいいです!!」

すぐに言った飯島君。
だから私は彼を抱き締め返した。
でないと離してくれない。
そう思ったから。

「わかった。そばにいるよ………」

私はそう言った。
彼はきっと今………なにかを整理しているんだろう。
だからまってあげないと。
私にできるのはそのくらいだし。

「ねぇ、そういえば………もう少しで男子、リレーじゃないかな?一位………とるんでしょ?」

私は笑って言った。
あの時言ってくれたこと、忘れてないよ。

「一位とってよ!それで一緒にどこか行こ!」