だから、LINEに書いてあった店の前まで来てしまった。

案の定、相当飲んだに違いない彼女と、
奥から一緒に出てきたのは
多分同僚の男だろう。


「大丈夫?ゆきさん。」

「んうー、酔ってないもん。」

「酔ってるでしょ。送るよ、俺。家どこ?」

「んーん、1人で帰れるー。」

「でも俺、ゆきさんが心配だから。ほら、教えて?」


眠そうなゆきは、足元が覚束ない歩き方で
男はそんなゆきの肩を抱いて話しかけていた。



ほら、やっぱり来て良かった。

「ゆき。」

俺が声をかけると、
きょろきょろと小さい頭で俺の姿を探して
それがめちゃくちゃ可愛い。

俺を見つけるとぱっと顔を輝かして、
俺の方に小走りで駆け寄ってきた彼女。

「りーくん、きてくれたの?」

自分のしていたマフラーを、
ゆきの首元に巻いてあげると
マフラーに顔を埋めたゆきは
ふふっと嬉しそうに俺の腕に抱き付いた。