帰宅したユアはコートを脱いでソファにかけた。

あの時と同じだ。

あの時も彼女は同じことをした。

「もう9時ですね、買ってきたケーキでも食べましょうか」

「うん…」

ユア

「ユア」

彼女は振り向いた。

白いワンピースは彼女の白い肌に溶け込みそうなほどによく似合っていた。

あの時と同じだ。

「ユア」

姿は変わらず、彼女はここにいるのに。

カーテンが静かに揺れる。

涙が頬を伝っていた。

「優愛」