ここはやっぱりホテル?!
さっき入江さんからお兄ちゃんが預かってたカードみたいなモノは、もしかして、このホテルの部屋のカードキー?!
ということは、もしかしてワタシ
お兄ちゃんと二人きりで今日ココに泊まる・・・の?
嘘
しかもこの格好
入江さんの意図してることがますますわからなくなったかも
「日詠様、お待ちしておりました。」
「スミマセン、こんなズブ濡れの格好で現れてしまって。」
「いえ、事情は入江様からお伺いしています。日詠様のお着替えを用意しておりますのでこちらをご利用下さい。お連れ様はこちらでご案内致します。」
何か事情を知っていそうな丁寧な口調のホテルマンとお兄ちゃんのやりとり。
それを聞いていても、やっぱり入江さんの意図していることがわからない
お兄ちゃんのコト、策士なんて言ってたけれど、入江さんのほうが策士なんじゃって思えてしまう
「お連れ様、どうぞこちらへ。」
『あっ、ハイ!!!』
着替えに向かったお兄ちゃんを見送っている最中、今度は私が声をかけられ、彼が向かった方とは反対側へ移動し始めた。
ホテル内のカフェの隣を通過し、小さなフラワーショップの前も通り過ぎる。
両サイドに数々の絵画がかけられた細い通路を歩いていき、ホテルの別棟に着いた。
そこはホテルが所有しているらしい小さなチャペル。
ギイイイイ
女性スタッフによって開けられた大きくて、そして重そうなそのドア。
フロントと同色調の淡いゴールドの眩い光に目を細めずにはいられない。
その状態でなんとか前を見ると、夜8時近くという、挙式するには遅い時間だからか、神父さんも、招待客も、誰もいなかった。
「こちらへおかけになってお待ち下さい。私はこれで失礼致します。」
ここまで案内してくれたフロントの女性スタッフは微笑みながら丁寧に会釈をし、ここから立ち去ってしまった。



