【Reina's eye ケース31:戸惑いメール】
奥野先生と三宅さんと一緒に話をしている間、ベビーカーの中でうとうとしていた祐希。
彼女らが立ち去った直後、そのまま眠るかと思ったら、お腹が空いたと言わんばかりに泣き声を上げたため、授乳室で授乳をさせた。
『お腹、空いた~』
授乳が終わったら今度は自分のお腹が空いたので、売店でおにぎりを買って、飲食可能スペースで食べた。
そんなことをしているうちに時計の針はもうすぐ13時を指そうとしている。
お腹が満たされた祐希は再びウトウトし始めたため、ベッドでゆっくりとお昼寝させてあげたいと思った私は急いで病院玄関に向かった。
病院受付の人混みをかき分けてようやく玄関に到着し、バスの時刻表に目をやるも、発車したばかりですぐに乗れるバスがないことに気がつく。
『バスだと電車も乗り継がなきゃいけないから、急いでるし、今日はタクシーにしようかな。』
今度はタクシーを探すも、それも玄関前には見当たらなかった為、タクシーを呼ぶために鞄の中の携帯電話に手を伸ばす。
すると、携帯電話の着信を知らせるピカピカ点滅を発見。
『いけない!電源切るの忘れてた!!!!でも、誰だろう?真里かな?』
”新着メール1件”
『日詠先生?!』
メールしてくるなんて、珍しい・・・
何・・・かな?
【送信先】日詠先生
【題名】 無題
【本文】
今日、午前で仕事上がれることになったから、もし、まだ病院内にいるようだったら一緒に帰るか?昨日、車で出勤したから。
そういえば、日詠先生、昨日夜中から出勤してたっけ
だから電車じゃなくて車で出勤したんだ
私、寝てたから言葉を交わさないままだったな
ん?!
違う
私が起きてた時、ベランダで三日月を眺めてた時に背後から抱き寄せられた後もまともな会話してない
あのぎこちない雰囲気でいるのも落ち着かないから
お弁当でも届けてそれとなく会話できたらいいなと思って病院まで来たのに
奥野先生やあの三宅さんとのやりとりで頭を使い過ぎて
今日、わざわざ病院まで来た目的がすっかり頭の中から飛んじゃってた
やだ
どうしよう・・・・
クルマとか他人がいない空間で日詠先生とふたりきりになったら
昨日の夜のコト、また想い出しちゃいそうで
切なくて、胸が締め付けられそうで
日詠先生の顔、まともに見られないよ