【Hiei’s eye カルテ17:効果100倍ミントガムと紙袋】
東京にいる伶菜と電話で話してから、ガムシャラに働いて過ごした1ヶ月。
俺は医局のデスクで、昨日行った手術記録を電子カルテに入力していた時だった。
「日詠クン、日勤代わって。」
やや疲れた表情の奥野さんに声をかけられた。
『俺も今から日勤ですけど。』
「その日勤、あたしにやらせてって言ってるの!!!!!」
『は?』
日勤をやりたくないじゃなくて
俺の日勤をやらせろってコトか?
今にも爆睡しそうなその顔で?
「夜、彼氏とデートしたいのよ。だから代わって!!!!!」
『奥野さん、彼氏とかいたんですね。』
お願いされている状況なのにギロリと睨みが入る
おかしくないか、それ
「・・・いろいろ事情があるのよ。っていうか、メール見てないの?」
『メール?・・・まだ受信メールボックスを開けてないので。』
「東京医科薬科大学からのメール。」
『・・・・・・?』
なんとか暇を見つけては、受信メールボックスを覗いていたのに、なぜ俺はまだそのメールを未確認なんだ?
「まあ、いいわ。そういうことだから、代わって。それでもって、日詠クンはここからさっさと消えること!!!!!!」
『えっ?ちょっと待って下さい、俺、まだメール見てないんですけど。』
「つべこべ言わず、今から東京へ行きなさい。伶菜ちゃんの子供が明日オペ予定になったらしいから。」
そういうことか
通りで、夜勤明けのくせに日勤まで引き受けて、急に東京へ行けなんて言ってくれたわけだ
でも、これ以上、奥野さんに迷惑をかけられない
今まででも充分、世話になっているから