「何?」

「えっと、その……私なんかにこんなこと言われても微妙かもしれないけど」

「?」




「昔誰かを傷付けたとしても、今の篠原君がとても優しい人だって、私は知ってるよ」





そう伝えると、彼はなぜか少し驚いたような表情で私の顔を見つめる。


……変なこと言っちゃった?



「あの……」

「ああ、ごめん……。
……ありがと」


「……うん!」



今度こそ、篠原君は体育館の方へと向かって歩き出した。



そう。篠原君は優しい。


でも、彼の優しさに触れていたら、私は松永君に対して、大事なことを思い出した。



そして、私の〝答え〟が決まったーー。