「ハァ、ハァ…」



入院生活で体力も落ちている中、
いきなり走ったせいか息が上がり、


心臓のドキドキが止まらない。


杏はよろよろとベットに着くと、
そのままパタンッと横になった。


しばらく経っても、
さっきから胸の音が静まらない。


広瀬先生の顔を思い出すと、
さっきより胸が締め付けられている気がする。



(私、何で逃げてるんだろう…)




気持ちを落ち着かせようと
ゆっくりと深呼吸した瞬間、


微かにヒューという音が杏
の肺あたりから聞こえた。