自販機に着いて、
いつものお気に入りのコーヒーを探した。



「えーっと。うそ…売り切れてる」



お目当てのコーヒーは、
心なしか申し訳なさそうに、


売り切れと赤く表示されていた。



他のコーヒーとも迷ったが、
少し先の自販機に、あるかもしれないと、



また歩き始めることにした。



日中は患者さんで混雑しているこの場所に、
今は誰もいないのが少し変に思える。



杏はこの空間がまるで自分だけのもののように感じ、思い切り伸びをした。



「ん〜…」