「…大丈夫です!」


広瀬先生から急に声をかけられて
びっくりした。


でも久しぶりに会えて、
こうして話せていることがなにより嬉しい。



ふと助席を見ると…白石先生は寝ていた。



広瀬先生も横で寝ているのに
気がづいたらしく、


2人でミラー越しに目を合わせると、
静かに笑い合った。



(普段あまり見ないけど、その先生の笑顔…好き…)


そう思った瞬間、また胸がドキドキした。


すぐ目の前に運転している広瀬先生がいる。


手を伸ばせば届きそうなくらい
この近い距離を感じながら、


杏はそっと先生の後ろ姿を見つめた。



ふと梨香たちと映画に行くはずだった日に、
ナースステーションに立っていた、



あの時の先生の後ろ姿と重なる。



これまでの広瀬先生との
色んな出来事が、頭の中を駆け巡り、


急に胸が締め付けられた。



(…もしも今、広瀬先生と2人きりだったら…)