沙月たちが玄関へ向かうと、大きな落とし穴にはまっているキングと、それを見てゲラゲラ笑うひとめ。またひとめがいたずらしたのだ。

「……」

地面が凍っていく。沙月たちは体は震わせながら、後ろをゆっくり振り返った。

「……ひとめ、あなたは何度言ってもわからないようね……」

お雪が氷をひとめに投げる。それを合図に戦いが始まってしまった。



「この人は宮野葉月(みやのはづき)。沙月の助っ人じゃ」

「ど〜も」

妖怪たちがあの世に帰ってすぐ、おじいちゃんが京都から助っ人を連れて来た。

「神条沙月です。こっちは妖怪の……」

「知ってる。嵐猫、風を操る妖怪」

葉月は冷めた目で答えた。沙月は驚き、すごいと小さく呟く。

「いや、妖怪とタッグ組んで戦ってるなら、詳しくないとダメじゃん。もしかして相手が名乗るまで知らなかったとか?」

葉月の言葉がグサグサ刺さる。しかし何も言い返せない。葉月が言った通りだからだ。

「あまり好きにはなれない……」