「ちょっと厄介な女につきまとわれてさ。 切りたいんだよね、お願い!」 顔の前でパチンと手を合わせて、お願いをしてくる柊。 そのあまりの可愛い仕草に、私の中の母性がうずく。 こんな時ばっかり可愛い子ぶりっ子しちゃって。 罠だと分かっているのに、柊のその可愛さは尋常ではなく、うっかり頷いてしまいそうになる。 「絶対やだ」 私は、首を縦に振りそうになるのをぐっと我慢して、そのまま横に振った。 「海莉には迷惑かけないから! だからお願い!ね?」