休憩中には誠司さんとの生活を、アレコレ詮索されて大変だけど。

 そして一番驚いたのが、社員に拝められているということ。弥生さん曰く、私と彼はまさに女子憧れの〝シンデレラストーリー〟のようで、あやかりたいという女性社員が殺到し、なぜかお腹を撫でると恋愛運が上昇するという、変なジンクスまで広まっているようだ。

 でも、私のせいで誠司さんを悪く言われるような事態にはならず、ホッとしている。お腹ならいくらでも撫でてくれていい。

 そのほうがこの子にもいい気がするから。みんなに撫でられると嬉しいのか、胎動をよく感じていた。それは、今も……。

「あ、誠司さん。動きました」

「どれ」

 すかさず誠司さんが私のお腹に手を当てると、返事をするように元気に動き回る。

「本当だ、今日も元気だな」

「そうですね」

 大好きな人と一緒にいられる毎日に幸せを感じる一方で、気がかりなこともある。

 数ヵ月前の食堂での一件以来、早乙女さんが会社に来ることはなく、そのまま退職。

 社内ではしばらくの間、早乙女さんの話題で持ちきりだった。無責任すぎるとか、これだからお嬢様はとか……。悪い噂ばかり耳にしていた。