「だけど本当、さくらちゃんがいい恋愛をしているようでよかったよ。……相手は以前悩んでいた人だろ? よかったじゃない、想いが届いて」

「弥生さん……」

 すると彼女は、ポンと私の背中を叩いた。

「さくらちゃんが惚れた相手だ。素敵な人なんでしょ? 今度、写真を見せてね。あ、なんなら私たちに紹介してくれてもいいよ? ねぇ、みんな」

 弥生さんの一声にみんな次々と、「あぁ、連れておいで」「私たちが品定めしてあげる」「イケメンなら、私がもらっちゃおうかな」なんて言う。

 相手が相手だけに、みんなに紹介することはなかなか難しいけれど……。でもいつか村瀬さんと付き合っていることを、弥生さんたちに話せたらいいな。

「ありがとうございます。でも! お話はおしましです! お仕事してください」

 お礼に続いてすぐに厳しい口調で言えば、みんな笑いながらも調理に取りかかる。

「なにか困ったことがあったら、いつでも相談にのるからね」

「はい、ありがとうございます」

 私の返事を聞き、弥生さんも持ち場に向かった。

 幸せだよね、私。職場環境にすごく恵まれている。いずれはここを離れる日がくるだろうけれど、その日まで精いっぱい務めよう。

 気合い十分に私も調理に取りかかった。