ー貴哉sideーー
木曜の朝。
いつも通り起きると、下の階の方から音がする。
「ん…?」
眠い目をこすりながらキッチンに行くと、母さんがいる。
「ん…?」
寝起きのせいか頭が回らず、反応は一緒だけども…。
「今日は…木曜だよね?仕事、休みじゃないよね…?」
不安になるんですけども…?
「今日は仕事の関係で出勤遅いの。で、ちょっと家事しないとなって。貴哉、全部やってくれるから、ほとんど私の出る幕無かったけどね」
母さんは苦笑する。俺が寝る前に洗った皿を片付けて、やることは終わってしまったらしい。
「あ、洗濯しといたから」
「ありがとう」
「いつから貴哉の担当になったのー?」
中学入った頃からかな?
「どうせ洗う量少ないし、ほぼ俺のだし」
「そうね、確かに。真哉(しんや)は洋服大好きだったから、もう…洗濯の量凄かったけどね?懐かしー!」
真哉は、9歳年上の兄。だから今年で25歳。
大学卒業後、一人暮らしし始めて3年くらい。
お盆やお正月に帰ってくるくらいで、そんなに会わないのだけど。
「あ、そろそろ準備しないと!」