「やっぱ私、貴哉くんがいい」


!?!?!?!?!?!?

何、今日は俺幸せな日な感じ?


「俺だって、飛鳥ちゃんがいい…」

「おぉー!両想いー!」


りっ…両想いっ?!

いや違う。飛鳥ちゃんだ。
同じこと考えてるから両想いだねーって、そういうやつだ。

絶対そう。うん。


「凜と知愛からのLINEでさ、一緒にご飯食べよーだって。だけど、私は貴哉くん選ぶ」

「俺が先だったから?」


彼女は横に首を振った。


「貴哉くんの前だと、気が楽」

「そう?」

「うん。もし貴哉くんの方が後に誘ってきても、まだ彼女らに返事してなかったら貴哉くん選ぶ」


微笑みはあるけれど。

また触れてしまう。どこか冷めた瞳。

やっぱ、何かあるのかな?あの2人と。
別に仲悪いとか、そう感じることは無いよね。

でも、あえて考えるとしたら、あの体育の時、飛鳥ちゃんは仙葉さんや植草さんと喋ってなかった気がする。

俺がいたから、のけ者にならないようにって思ってたのかもしれないけど。

授業が始まる前、あの2人と少し離れてストレッチしていた。会話に入る気はありませんよーっとばかりに。

だとすれば、俺に気付いた時の嬉しそうな反応も納得がいく。


「飛鳥ちゃん」

「うん?」


俺に目を向けてくれた。


「俺で良かったら、いつでも付き合うから。
何でも、話聞くから。…ね?」


飛鳥ちゃんは何か驚いたのか、ゆっくりと瞬きする。


「…そういうこと言うのズルいって」


…あれ?
飛鳥ちゃんちょっと照れた?


「へへっ」


思わず微笑みが漏れて、頭を撫でてしまう。


「たっ…貴哉くん、私の頭撫でるの好きだよね!
何もう!!」

「え?なんか可愛いなーと思って」


飛鳥ちゃんはもう、何も言わないで頬を染めるだけ。


…でね、俺はさっきから後ろの2人の会話が気になって仕方無いの。

だってさ、「あの2人、付き合う前の俺らみたいだね」とか、言ってるんだよ?

おそらく先輩彼女と、後輩彼氏。

彼氏の方は、新入生しかいない行事で見かけたことあるし。クラスは一緒じゃないっぽいけど。

彼女の方は、「同じクラスの女の子だわ」って言ってたから、飛鳥ちゃんと同級生…つまり先輩ってことだ。


いいないいな、俺もああなりたい!