翌日。珍しく佐倉が先に来ていた。


「佐倉おはよ」

「はよ」

「古典好きになった?そんな早く来ちゃって」

「何言ってんの、前から嫌いじゃない」

「それはそれは」


席に着くと、佐倉がこちらに振り返った。


「…夜中にゲームしてたら、目が冴えて眠れなくなってほぼオール」

「ゲームって?」

「ギャルゲー」

「それは眠れないっすね」

「尊かった…」


ギャルゲーがどんななのかよく知らないけど、乙ゲーの男子向け版みたいなもん?


「佐倉ってさ、カートとか格闘系のゲームって得意?」

「俺何でもやるよ?特にカートは得意だな」

「へえ…何だろうね、女子にもカート強くなる遺伝子欲しい」

「遺伝子とかそういう問題でも無い気がするけど」

「昨日ね、貴哉くんと家でゲームしてたんだけど、カートも格闘系も負けちゃって」

「…ん?」

「翔が帰って来てからは、3人でスポーツ10番勝負やって、そっちは私が総合優勝させていただきました」


佐倉が何故かポカンとしている。


「えっと…家に?」

「うん…昨日は最後の授業が休講だったから、同じく休講だった貴哉くんが遊ぼーって誘ってくれたの。で、なりゆきで」

「な…なるほど…」


何だよ、歯切れ悪いなぁ。