――あれ? あの子、ひとりで何してるんだろう。

 しゃがみこんで芝をかき分けたり、石をひっくり返したりしている男の子がいた。

 普段は暗闇の中で外で遊ぶことがない子供たちは、一様にテンションが上がっているのに。

 地味にそんなことをしている彼が妙に気になって、私は近寄った。


「どうしたの?」


 声をかけると、彼はしゃがんだまま顔を上げた。

 とてもきれいな顔をしていて、私は驚かされる。

 黒目がちの大きな瞳に、暗い中でもわかる白い肌は、まるで女の子みたいだった。


「ちょっと、大事な物を落としちゃって。捜してるんだ」


 立ち上がりながら彼が言う。

 八歳にしては身長の高い私よりも、頭ひとつ分くらい小さかった。

 私と同い年か、ひとつ下くらいだろう。

 彼が背負ったリュックには、黒猫のキーホルダーがぶら下がっていた。

 最近流行っているお菓子についている、おまけのキーホルダーだ。

 かわいらしくて、私はこのシリーズを集めていた。

 実は私も同じおまけのキーホルダーを、今日持ってきたバッグに付けている。