ずっとキミしか見えてない


 さりげない口調で言う彼だったけど、私は嬉しくてたまらなくなってしまう。

 その感情が前面に出そうだったけれど、必死に抑えて小さくお礼を言った。


「別に、今日は俺何の用事もないし」


 私に気を使わせないような光雅くんの一言。

 そういった細かい気遣いができるところも、本当にかっこいいなあと思ってしまう。


「紗良?」


 思わず光雅くんに見とれてしまっていた私だったが、そんな私を彼が不思議そうに見てきたので、私ははっとする。

 だから、今は補習のプリントを進めなきゃいけない時間なんだってば、私。

 光雅くんに見惚れてないで、真面目にやらないとダメじゃん。


「え、えーとね。ここの細胞の構造とアデノシン三リン酸についてが……」


 気を取り直した私がそんな風に問題について尋ねると、光雅くんはじっくりと聞いてから、教科書や参考書のページを指し示して、かみ砕いて教えてくれた。

 彼の理路整然とした丁寧な説明は、今まで何をそんなに理解できなかったんだろうと思えてしまうほど、私にはわかりやすかった。